【怪奇夜話】時空のおっさん事件3 / ヴォイニッチ手稿
◆後悔しています
どうも最東です。
ここのところシリーズ化してしまっている『ヴォイニッチ手稿』と『時空のおっさん』ですが、
書いている本人ですらこんなにも長くなってしまうと思っておらず、
まだまだ長くなりそうな雰囲気にどうしようかと悩んでいます。
つまりこのまま書いていると、さらに何回かの更新をまたいでしまいそうで、
どうしましょう。
と悩んだ結果、まぁこんなにも一つのテーマについて語ることもないので最後まで書ききろうと決意しました。
そういうわけなので、もうしばらくの間お付き合いくださいね。
◆左手の入れ墨
思い返せば思い返すほどに、不可思議な体験だった。
夢だと無理に思うともしたが、さすがに足の裏の汚れと傷を見るとそうは思えない。
記憶の糸を辿るようにスレッドの住民と会話をしている中で、
改めて彼は不可思議さを思い知るのだった。
その中で一つ、思い出したことがある。
それは、後からきた中年男性はイタリア人のような風貌だったという。
恰好がという意味ではなく、見た目がという意味で、だ。
その男は左手にタトゥーを彫っていた。
中央に顔があり、そしてそれを囲むような赤と青の風車の模様。
あまりに唐突に思い出した為に、彼は言い知れぬ気持ちの悪さを感じていた。
脳の疾患や病気を心配する声まで出る中で、この風車のタトゥーに対して思いがけない情報が提示された……。
◆風車の正体
多方面から「オカルト板の時空のおっさんスレに書け」と謂れ、
時空のおっさんというものを知らないスレ主は、独自にインターネットで調べてみたところ、
偶然(……なのだろうか?)、あの異世界のような空間で見たあのイタリア人っぽい男が左手に掘っていたタトゥーと酷似した画像を発見した。
それをスレに書き込み、画像を添付したところスレ内が騒然となった。
「それ、ヴォイニッチ手稿じゃないの?」
オカルト板に出入りしている住民の一人がそう話したところで、
スレ内は大騒ぎになり、
「時空のおっさんとヴォイニッチ手稿が繋がるとは思わなかった!」
◆一つの仮説
車はあるのに電車がない、空が赤く地理がデタラメな世界。
そういう世界があり、その世界に行ってしまったのではないか。
結論ではないが、スレ内で答えが出るはずもなく、誰かが言ったこの仮説を信じるものも少なくなかった。
ヴォイニッチ手稿は、オカルトマニアの中では有名な事柄である。
また、時空のおっさんとはネットで異世界に行ったと自称する複数のユーザーが話したところから名づけられたものだ。
ヴォイニッチ手稿は今から500年も前に作られ、その未知の言語やイラストで、
未知の世界のものではないかという、非科学的な意見でさえ誰も否定ができない。
そんな大昔の未知の物体と、科学の進歩が生み出したインターネットが繋がった。
つまり、こうは考えられないだろうか。
ヴォイニッチ手稿を書いた人間は、別の世界の人間で、その世界の言葉で異世界の事柄を記した。
残されたのは確かに大昔ではあるが、その異世界は現代でも私達が生きるこの世界と並行して存在している。
その世界は、とてもこの世界と似ているが、本質がまるで違う。
そして、なんらかの条件が合った人間にだけその世界に行くことがまれにある。と。
時空のおっさんとヴォイニッチ手稿の因果……謎のままではあるが、
紹介したこの2件の例だけにとどまりはしなかった。
やがてまた某掲示板の一部を震撼させる『記憶が二つあるんだが』というスレッドが立てられる。
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